歯医者での会計時に「診察券がLINEに変わります」と言われたんだけど意味が分からなかった。なんでも、LINEアプリの機能を使ったデジタル診察券というものがあるらしい。しかし僕はLINEを使っていないので何をどうすれば良いかさっぱり分からなかった。仕方がないのでパソコン教室に通う老人のように振る舞って、手取り足取り登録の方法を教えてもらった……のだが、家に戻って確認してみると、物の見事に登録に失敗していた。こんな僕の肩書きがITエンジニアだってんだから凄いだろ? 後期高齢者に片足を突っ込んでいるうちの親でさえも普通にLINEを使っているというのに、インターネッツの最前線で仕事をしてきたはずの僕がこの有様だよ。もちろん、理由はある。SNSをやらない理由と同じだ。僕にとってどうでもいい情報をプッシュして欲しくない。そんなものに時間を費やしたくないし、生活のリズムを乱されたくない。とは言え、使わないというだけならば兎も角、使い方すら知らないとなると問題が生じることもあるようだから、最低限の学習はしようと思った。
個人がLINEに依存するのは勝手にやってろと思うんだけど、社会が私企業に依存するのは不健全だしグロテスクに思える。Googleやら旧TwitterやらFacebookへの依存にしたって同じだ。利益追求と公共性を秤に掛けた時に利益追求を選択するのが私企業というものなのに、そこに生活を託すってのはさすがに無邪気すぎないか? 企業の方針が変わった時にどれほどの混乱が生じるかというのは、Xの運用を見ても分かるだろうよ。Googleにしたって、上手く行かないと見るや否やサービスを無くする。Googleの特定サービスに依存して作られた業務システムが、Googleの方針変更によって使えなくなったなんてのもザラに聞く話だ。生活の全てを特定のプラットフォームに委ねた場合はアカウントが生命線になるのだけれども、そのアカウントを生かすも殺すも企業次第じゃないか。生殺与奪の決定権を私企業なんかに託していいのか? まあ、いいんだろうね。大抵の人が、それを受け入れている。
そもそもの話になるが、みんなインターネットを信用しすぎなんだよな。総務省が対策を急いでいるけれど、現状のインフラでデジタル化を完遂させると、簡単に壊せる国が出来ちゃうよ。こんな状態で首都圏に天変地異でもあろうものなら、あるいは戦争なんかしようものなら、たちまち機能停止に陥ってしまうよ。