でも、この台詞には続きがあるんだよ。「なぜなら俺にとってお前なんかどうだっていいからな」というね。既に多くを得ている奴の口から出る「てめーはずっとそこにいろ」というアドバイスを真に受けるなんておめでたいよな。この手のアドバイスには「(がんばろうが、がんばるまいが)君《が》いい」という正解があるのだけれども、これを言ってくれる人など滅多にはいない。だから、質の劣るジェネリックで癒えた気になるしかないんだろうな。実際問題として、がんばらないためには、現状で(満ち足りるとまでは行かなくとも)足りておく必要がある。いわゆる「足るを知る」ってやつだ。「足るを知る」と書けば立派に見えてしまうかも知れないから辞書を引くと、そこには「身の程をわきまえて、むやみに不満を持たない」とある。身の丈に合わないものを、きっぱり諦めなさいってことだね。可能だと思うよ。ただし、自分より高みにいる人々から侮辱を受けない限りにおいてはね。連中は「足るを知れ」と言いながら、足るを知ろうとする人を馬鹿にするんだよ。足るを知ろうとしている人に向かって、「おめーには足りてない」と抜かしやがるのさ。品のある者は、人様のささやかな幸せを、馬鹿にしたり、憐れんだりするもんじゃないぜ。それができない奴は下品だよ。一日中シコってる僕よりもずっとな。