もう僕の人生には面白いことなんてねえかもな。


面白い事に金を使おうとしない銭ゲバにはウンザリだし、そんなアホに金を払うバカも同罪なんよ。金を持ってからも当て続けるような本物は僕の知り合いにだって数えるほどもいない。大抵は「たまたま当てただけの人」でしかなく、その先には何もない。昔の仕事が何であれ今の肩書きが「金持ち」でしかない奴に金を使うなよ。そんな奴を持て囃したって何も出ねえから。将来的に自分を楽しませてくれそうな人を、しっかり見極めて投資しときな。僕は株を買うという形で文字通りの投資をしていたけれども、今はポジションを持ってない。どこもかしこも、つまらんからな。

仮に明日にでも余命が尽きるとして心残りがあるとしたら、それは心霊的に怖い思いをしたことがないことだ。幽霊ってやつを見てみたい。欲を言えばいっぺん呪われてみたい。その霊力が怨念の程度によって決まるものならば、僕は生身でも良い勝負ができると思う。

おそらくだけど、いろんな刺激に慣れすぎて、感性が鈍磨しているのだろうな。ひとつだけ願いが叶うなら、全てを忘れてしまいたい。

とにかく、僕は驚きたいのだ。何を見れば驚けるかを考えることもあるのだけれども、自分で作ったお化け屋敷に驚けるわけもない。必要なのは偶然だ。「サイコロを10個振ってゾロ目が出たら驚くかもね」とは思うが、そのために延々とサイコロを振るのは馬鹿げているし、数をこなして実現させたところで「そりゃ出るよな」としか思わないだろう。自分を脅かすのは難しい。こればかりは人様に頼りたい。……のだが、あまり期待できそうにない。客を驚かすことに心血を注げる人なんて、きょうびそんなにいないんじゃないか? となるともう、サイコロを振るよりかは幾らかマシな方法を自分で考えるしかないかも知れん。

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