たぶん僕もサブカル好きではなかった。


言語化によってそれを分からせてくれた永野先生ありがとう。

色んなジャンルに触れてきてはいるのだけれども、ハマれたものなんてほとんどない。それを追いかける動機にしたって「僕が同類とみなす人々が好むものはきっと、僕にも合うに違いない」だとか、「それを履修することによって仲間に入れてもらえるかも知れない」といった、期待やら下心によるものであって、好きで追っていたものは少ない。何も分かっていないくせに、分かってる感じの振る舞いをして、サブカル好きという界隈のなかにポジションを持とうとしていた頃もあるのだけれども、サブカルとして括られる全てが好きなわけではないし、なんなら嫌いな物の方が多いと思う。たとえば音楽。メタル好きの従兄弟やらテクノ好きの友達から色んな曲を教えてもらったけれども、まるでピンとこなかった。ロックやらパンクは聞けなくもないけど、追うほど好きなわけではない。プロレスや格闘技もピンとこなかった。……というか、嫌いだった。それでも、僕が勝手に同類とみなしてきた人たちは、そういうものを好みがちだったものだから、「嘘でも好きなフリをしていないと(あるいは好きにならないと)社会の隅っこにすら居場所がなくなるのではないか?」と思って、頑張って好きなフリをしていた。これではメインカルチャーを追いかけるのと何も変わらない。「サブカルの中で落ち零れたくない」という思考が表れてしまった時点で、僕にとってのサブカルは既に非主流の文化ではなっていた。僕が一方的に同類だと思っていた人たちは、実のところ同類なんかじゃなくて、サブカル界のエリートやらエスタブリッシュメントたちであり、要するに、いけ好かない連中だった。……と、気付いたのは20年くらい前か。そのときは「話が違うじゃないか!」と思った。「こんなところにも社会があるなんてズルいじゃないか!」と。しかし、よくよく考えてみると、間違っていたのはどうやら僕の方だった。社会の中にしか存在し得ない同類なんてもんを求めてしまった時点で、僕はそこに社会の存在を認めてしまっているではないか。ポジションを求めてしまった時点で、序列の存在まで認めてしまっているではないか。大きな社会から弾き出されたゴミ虫が、「小さな社会であれば勝てるのではないか」という下心を抱いたに過ぎないのではないか。それぐらいのことを考えて、自分ってやつにガッカリしたんだ。なんてつまらない人間なんだろうってね。だからもう同類は求めない……と言いたいところなんだけど、今は永野に気持ちが傾いている。

Q. ならおまえは何が好きなんだ?
A. 僕が好きなものはエログロとゲームです!

【追記】

期待していた通りの発言が出てきた。

Closed