何もしていないというステータス。


良いことも悪いこともしていない人が、“悪いことをしていない”という一点のみを掲げて胸を張っている姿って、この上なく無様だと思うんですよ。だって、そのステータスって、路傍の石みたいな静物と同じじゃないですか。いや、静物どころの話じゃないですね。そのステータスを得るだけならば、この世界に存在する必要すらないのですから。これから僕が適当に考えるこの世に存在しない想像上の生物“ナバガモフスヌグ”だって同じです。今のところナバガモフスヌグは、良いことなど一つもしていないのだけれど、悪いこともしていないという点において、どうやら善良らしいです。ナバガモフスヌグなんて生き物は、言うまでもなく居ないんですけどね。何もしないというステータスの価値なんて、居ないものと同じなんですよ。辞書によると“善良”とは“正直で、静かで、逆らわないこと”を言うらしいです。対し“善”とは“正しいこと、道徳にかなうこと”を言うそうです。まるで意味の違うこの二つの言葉を混同している人が多くいるように思いませんか? 無為は善良であっても、善ではありません。悪でないのと同じくらいにね。適切に言い表すなら“無”ですよ。

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