本当の地獄は10年後だぜ。


Link: 「世界一不幸」といわれる日本の40代未婚中年男性が幸福度を高める方法はあるのか?

僕はマイルドヤンキーの群れのド真ん中で育ったから、連中の習性を熟知してるし、それなりに嫌悪もしているのだけど、学べるところもあると思ってる。たとえば、思慮よりも欲求を先に立たせる方が上手く行く場合もあるとかね。具体的には「ヤリたい」という欲求を前面に出せる奴は低スペックでもヤレるってことだよ。「好き」という感情を形振り構わず表現できるブサイクが可愛い彼女さんを連れているところを見たこともある(「ブサイク」だの「可愛い」だのといった言葉を安易に使うと語弊を招きそうだけど、このエピソードを漏れなく説明しようとすると長話になるから端折っているよ)。極論を言うなら童貞や独身の原因は奥ゆかしさだ。単に奥手と言ってもいい。僕らの行動に歯止めを掛ける「○○がないから無理」というエクスキューズの多くはメディアから刷り込まれた呪いであり大抵は思い込みに過ぎないだろう。「傷付きたくない」という一心で行動を躊躇し続けた結果、自らを不幸にするなんてのは馬鹿げていると思うよ僕は。自己中心的な振る舞いをしろと言いたいのではない。自らを偽りなく表現する方が良いのではないかと言っている。

自分に対し神経質な奴が対人で上手く立ち回れないのは、自分へ向けるのと同じ目で他人を評価してしまうからだ。自分の短所やらコンプレックスに執心する奴ほど、その目線で他者を評価してしまう。例えば自分の学歴にコンプレックスがある奴は、他人を学歴で評価してしまう。薄毛で悩んでいる奴は、他人の髪を気にしてしまう。低身長で悩んでいる奴は、他人の背丈を気にしてしまう。他人から向けられたくない評価の目線を、あろうことか他人に向けてしまうようになる。だから、自分を肯定することなんかよりも、自分を卑下しないことの方が、ずっと大切に思えるんだよ。人に優しくあるためにはね。

でも、こんなテキストには意味がない。気にしないことが大事だと分かっていても、気にしてしまうのが人なのだから。厳しく自分を評価してしまう自縛の呪いを解く方法なんて、「意外と平気じゃん」という境地に達するまで黒歴史を積み重ねていくような荒療治ぐらいしか思い付かない。恥ずかしいことをするのには勇気が要るが、恥と付き合うには慣れるしかない。が、その一歩を踏み出せる奴なんか、滅多にいない。それでも、間に合う奴には伝えておきたいんだよ。「恥をかく方がマシかもよ」って。日本人が英語を話せない根本の原因も、おそらく恥の忌避だと思うぜ。笑われないレベルまでスピーキングを鍛えてからでなければ披露できないという恥の思考は破滅的な非効率をもたらすし、辿々しくも果敢に話そうとしている同胞を嘲るところまでこじらせてしまうとそれは立派な害悪になる。

恥のない人生というのは素晴らしかろうが、恥のない人生のために能動を失うなんてのは本末転倒だと思う。そんな人生には何もない。せいぜい墓碑に「恥のない人」とでも書いてもらうくらいか? それって「この人は何もしませんでした」と書かれるのと大差ないんじゃないか? ていうか、そもそも無為ってのは、それ自体が恥ではないのか?

以上を閑話として、タイトルに戻る。記事によるところ、どうやら僕は世界一不幸な層らしい。世界一不幸ってのは言い過ぎかと思うが、幸せな方には入らないだろう。しかし、40代にはまだ希望の残滓が残っている(と思い込むことができる)。問題は、その思い込みが通用しなくなる10年後だ。自死を選ぶ奴や自棄になる奴が山ほど出現するのだろうぜ。という未来は見えているのに、どうにもできない。困ったものだね。このゾーンの独身はほぼほぼどうにもならん。だから、まだこのゾーンに至ってない奴は、至る前にどうにかしておけよ。

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