無理だと分かっちまってるのが切ないね。かくなるうえは、自分を慰めるために生きていくしかないわけさ。生涯を自慰に捧げるなんて、最高にイケてる人生だよな。
このところは死んだふりをすることが多い。布団の上に倒れて死んだつもりになるんだ。肉体が温度を失っていって室温と同じになる想像をする。飼っていた猫がそうだった。息を止めて、硬くなって、冷たくなった。いつか僕も、同じようになるのだろうな。
不可知論者だけど、死後には期待している。猫に会えるのは悪くない。ただし、そのお楽しみは先々のものだ。当面はくたばれそうにないから、歯を食いしばって生きていかなきゃならない。生きたとて意味などないってのにな。
意味がないって、怖いよな。頭では開き直っているのだけれども、「何をしても、しなくても、変わらない」という事実にはゾッとさせられるものがあるんだよ。無意味な世界を平気な顔して泳いでる奴等は凄いと思う。おそらくだけどアイツ等は、意味を信仰できているのだろうな。僕にも信じられるものがあると良いのだけれども、残念ながら見あたらないから、せいぜい「この世から苦しみがなくなりますように」といった程度の望みだけを抱くことにしているよ。意味があろうがなかろうが、苦しみは少ないに越したことないもんな。平和の希求に着地するのであれば虚無主義も悪くなかろうよ。いつか僕らは皆死んじゃうんだから、死ぬ者同士、仲良くやろうぜ。